ロシア政府のプロパガンダを信じる

プロパガンダ」とは、云く

広く触れ知らせること。宣伝。多く思想や協議などの宣伝をいう。

コトバンク

 

ロシア国民が、自国政府の、自国の国家元首が発する言葉を信ずることには反対しない。彼らにとっての私は他国民であるから、賛成も反対もない。

そのことに言及すること自体、内政干渉であるとすら考える。

 

ロシア国民が、自国の政府のプロパガンダを信じて、

「ロシアはウクライナ国民を殺してはいない」として政府の方針に賛成するのは、もはや国民の知性の問題ではないか。

 

プーチン大義名分は、ウクライナで人権を蹂躙されているロシアの同胞を守るために軍事作戦を行う」というものであった。

国民がそれを信じるということは、自国の利益を守るため、自国の国家元首が真と思うことを実行するためには、どのようなことがあっても尊重されるべきである。

 

そこ(プーチンが再選されることは誰にも妨げられない)に問題があることは承知しているが、プーチンロシア連邦の大統領なのだから。

 

ところが、だ。

 

彼らには本当の情報が入ってきているのだろうか。

その上でロシア政府・プーチンの言葉を信じているのだろうか。

 

本当の情報、ウクライナで実際に起きていることなど構わず、無心でプーチンラブなのだろうか。

 

武力を持って他国に攻め入れば、どのような事情があっても必ず反対派がおり、反戦のために声をあげる人がいる。

今ロシア国内で起きているデモや、テレビ局の職員が反戦の幕(「プロパガンダを信じないで」)を下げて政府のウクライナ侵略へ反対を表明(政府の代弁者となっているテレビ局)する人が現れたり、だ。

 

これを私は「国民の浄化作用」というようにも考える。

国策が正しいか、間違いか、時が経たねば分からぬが、問題であることが明らかであり、両方から意見があればそれを公平に汲み取り、より正しいと思える議論が始まるからだ。

 

「これから人を殺しにいくが、これは間違いではないから」

ロシア国民はこれをどう思うのか。

 

それを善しとするかどうか、認めるかどうかの話だ。

戦争を起こせば、相手国の軍隊をまず攻撃する。相手国の兵士は人間で、戦闘機を飛ばし、戦車を持ち込んで、ミサイルを撃って爆弾を落として銃をぶっ放せば、人間を殺す。

 

「敵は似た顔をしてるけど、構わず殺すから。あと、味方にも死人が出るけど、しょうがないよね。だって正しいことをしているのだから」

しかも今回は民族的に近いということもあり、ほとんど似た「顔」の人間を殺すわけだ。そして自国の兵士にも被害が出るのは当然で、自国民である兵士も交戦する中で死ぬ。

ロシア国民はどう思っているのか。

 

「今から街を破壊するけど、民間人は避難して居ないし、これは間違ってないから」

ロシア国民はどう思っているのか。

 

プーチンはなんとも思わない。これまでに何人も民間人を檻に入れたり、毒殺などという方法で殺してきたのだから。

 

「国内でガタガタ抜かしてるやつがいるけど、愛国者か裏切り者かはすぐに分かる」

ロシア国民はどう思っているのか。

 

武力で他国に攻め入らねば、その人たちの人権が守られないとして、

しかし武力による解決に反対する人たちに向けて「裏切り者」

チンコロ呼ばわり。

 

そんなことを本当に言葉にするか?

 

武力で他国に攻め入らねば、その人たちの人権が守られないとして、

人の命を守るために、やむなく殺生をする、そのトップに立つ人間が、

そんな言葉を使うのか?

 

私は私自身の戒めにしようと思う。

それを信じるのは、ロシアの国の人が考え決めることだから。

国民の知性の問題だ。

 

この状態ではもう「どうして人間を殺してはならないのか」という考えも全く役には立たない。安全でかつチープな話題だろう。

 

プーチンはもちろん厚い壁の中で守られているから無事で、おそらく自分の家族も含めてずっと安全の中にいてこれを見守っている。

ロシア国民はこれをどう思っているのか、私にとっては本当に疑問でならない。

 

さてそんなプーチンだが、「人権が蹂躙されている同胞を助けるため」に始めた侵略戦争だが、長引くことで兵士の数を減らし、武器弾薬を減らし、他国からの信用は0に。

 

プーチンがロシア国民へ発する、次のプロパガンダはこうだ。

「西側諸国は我々を長年に渡って敵対国とみなしてきた。今回、非常に重い経済制裁を不当にも課してきた。ロシア国民を救うべく、西側諸国と開戦に踏み切る。勝利するのは我々ロシア国民だ」

 

かつての、第一次世界大戦後のドイツ・ヒトラーのようではないか。